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平均所得が100ドル/月を切るカンボジアでクルマはステータスシンボル。成功者の証だ。

地球環境の破壊を問題視する一方で、その原因の一つに数 えられるクルマは着々と地球規模で数を増やしている。ア ジアでもその需要は高まる一方である。ここカンボジアも 全く同様だ。特に首都プノンペンに関する限り「一家に一 台のク ルマが普及しているのでは?」と錯覚させるくらい クルマの数が多い。残念 ながらスマッグリング(不法取得 =密輸)によるクルマが大半のため具体的 な数字は末発表 だが、朝、夕の幹線道路の渋滞ぶりをみると「これがカンボ ジアか!」と驚いてしまう。そしてクル マの数も驚きだが、日本のトヨタのランドクルーザー(以下ランクル)の多さに二重に驚く。それも 形式80や100、あるいはシグナスといった豪華ワゴンタイプが多い。バブルに浮かれていた時代の日
本で交差点に必ずベンツが信号待ちしていたようにプノンペンの交差点には必ず ランクルがいる。GDPがアセアン加盟10ヶ国の中でも最低層にランクされるカ ンボジアに、一台5万ドル(日本での販> 売価格=輸入関税を加えると10万ドルになる!)以上する高級車がなぜこんな存在するのか?…… 言ってしまえば理由はカンタンだ。pholet.jpg途上国の 常で金持ちはとんでもなく金持ち、貧乏人は 可哀想なくらい貧困である。その金持ちにと って”クルマ”とは”大きく立派 なモノ”で なければならない。全長約5mは、全幅約2m という巨大なボディに4.5リッ ター200馬力 オーバーのエンジンを搭載した世界のトヨタ の旗艦"ランドク ルーザー"こそ彼らの基準に あった"クルマ"なのだ。ベンツやBMWといっ た欧州車は部品の問題からも彼等にはアウト オブザ眼中、ベンツよりキャデラッ クよりも ランクルが一番なのだ。スマッグリングなん かは同じ眼外。 カムリ等の小型車なんて所詮、庶民の”ノリモノ”なのだ。



大きなランクルの対極に登場したのが小さな”アンコール2003”。しかし、大衆パワーが集約したこの
クルマの発するオーらはランクルに匹敵する。

カンボジアの首都プノンペンは人口約105万人、面積約300平方キロメートル と日本でいえば仙台市の半分の面積に同じ数の人が居るくらいの都市である。 1991年のパリ和平協定締結から10年余、ようやく平和 が市民に馴染んできた 2003年7月”アンコール2003”が登場した。 クルマとしての完成度は「カン ボジアだからまあいいんじゃない〜。」のレベ ルである。環境汚染とか安全基 準など、現代のクルマに果たせられる課題には関係なしだから当然だ。 目に見 えない部分(ハードウェア)は市場に出回る手ごろなパワートレィンとパーツをまるで原寸大のプ ラモデルのように組み合わせてあるが、cokpit0001.jpg 目につく部分( ソフトウェア)は結構イ ケてる。 ボリュウムたっぷりの前後バン パーと連続してボディの下半分を覆うシ ルバ ー&グレィのパネルが濃いブルーの ボディカラーによく似合っている。Non-cover.jpg 鋭い目つきのへッド ランプとウインカ-に 挟まれた逆楕円形の グリルもダルな全体 をピリリと引き締めて いる。思わず独り言を言ってしまう 『誰がデザインしたんだろ……?』
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